大きな期待が寄せられるアルテミス 2 号ミッション、最近成功を収めたJAXA SLIM およびチャンドラヤーン 3 号等の月着陸ミッション、地球低軌道(LEO)における New Space の展開といった刺激的なミッションにより、宇宙探査は再び活気を取り戻しています。宇宙の過酷環境での運用のため、これらのミッションには厳しい耐放射線および信頼性規格を満たす電子部品が要求されます。マイクロチップ社は本日(元記事日付2024年5月17日)、SAMD21RT耐放射線(RT) Arm® Cortex®-M0+ベース 32 ビット マイクロコントローラ(MCU)を発表しました。これらの MCU は、64 ピン セラミックおよびプラスチック パッケージに 128 KB フラッシュと 16 KB SRAM を内蔵します。

SAMD21RT は、サイズと重量が厳しく制約される宇宙アプリケーション向けに 10 mm x 10 mm の小型パッケージで提供され、過酷環境において最大 48 MHz の高い処理能力を提供します。本デバイスは最大 20 チャンネルのアナログ/デジタル コンバータ(ADC)、デジタル/アナログ コンバータ(DAC)、アナログ コンパレータを含むアナログ機能を内蔵しています。

SAMD21RT は、産業用および車載市場で既に幅広い実績のある マイクロチップ社の SAMD21 MCU ファミリを基に設計されています。また、SAMD21RT は商用オフザシェルフ(COTS)に基づき、耐放射線デバイスへの移行時にピン配置の互換性が維持されるため、設計プロセスを大幅に簡素化できます。マイクロチップ社は宇宙アプリケーション向けに包括的なシステム ソリューションを提供しており、豊富なデバイスが SAMD21RT MCU 向けに使用可能です。これらのデバイスには FPGA、パワーおよびディスクリート デバイス、メモリ製品、通信インターフェイス、オシレータ等が含まれ、認証レベルに応じた幅広い選択肢を提供します。

放射線と極端な温度による過酷環境に耐えるため、SAMD21RT は-40~125 ℃の動作温度レンジを有し、高い放射線耐性(最大 50 krad の吸収線量(TID)耐性、最大 78 MeV.cm²/mg のシングルイベント ラッチアップ(SEL)耐性)を備えています。

低消費電力の SAMD21RT は、アイドルおよびスタンバイ スリープモードと SleepWalking 周辺モジュールを備えています。その他の周辺モジュールには 12 チャンネル ダイレクト メモリアクセス コントローラ(DMAC)、12 チャンネル イベントシステム、各種の制御用タイマ/カウンタ(TCC)、32 ビット リアルタイム カウンタ(RTC)、ウォッチドッグ タイマ(WDT)、USB 2.0 インターフェイスが含まれます。通信オプションにはシリアル通信(SERCOM)、I2C、SPI、LIN が含まれます。

衛星軌道上で何万もの マイクロチップ社製品が使われています。マイクロチップ社は宇宙探査の歴史に大きく貢献し、今日および将来の宇宙ミッションに不可欠な存在となっています。マイクロチップ社の製品は有人月面着陸を目指すアルテミス計画で使われており、スペースローンチ システム(SLS)、オリオン宇宙船、月軌道ゲートウェイ、次世代宇宙服の実現に貢献しています。マイクロチップ社の宇宙ミッションにおける実績(Space Heritage)については、マイクロチップ社ウェブサイト内の Space Applications ページをご覧ください。

[開発ツール]

SAMD21RT 32 ビット MCU は SAM D21 Curiosity Nano 評価用キットMPLAB® X 統合開発環境(IDE)MPLAB PICkit™ 5 インサーキット デバッガ/プログラマによりサポートされます。

[デバイスの供給]

SAMD21RT 32 ビット MCU は、お客様からの要求に応じて限定サンプルとして提供されます。その他の情報はお問い合わせください。